IoTを活用できるかが鍵!
農業のIOT化と言われどれぐらいの月日が経ったのだろうか。
私自身もIoTの一つである営農支援ツール(agrinote)を日々利用している。しかし、こうしたツールを使いこなすためには明確な目的がなければ無用の長物でもあると考えている。
誰でも使えるが使う人を選ぶことを先に言っておきたい。
若く農業に希望をいたく農家ならまだしも中年以降の農家では、日々のデータを漏れなく蓄積していくことは、骨の折れる作業である。
まず、こうした支援ツールを使うためには日々の作業を小まめに入力していく必要がある。一日も欠かさずに。
通常は、昼間は肉体労働をこなし、その後パソコンなどに入力していくことになる。肉体労働後の一番やりたくない作業である。それも、毎日の作業を細かく入力して、データと現場を一致させてこそ活かされる代物である。
毎日データを漏れなく入力し続けることは非常に大変なこと。今日の作業は大変だったから明日入力しようなどと思う人は向いていない。
必須条件としては入力したデータと現場状況が一致させてあるかである。
そして利用目的を明確化していなければデータの価値を失うことになるし、入力作業も意味のないものになり、不必要なデータをとり続ける可能性がある。
こうした支援ツールを使うためには「何をどうのようにして行きたいか?」を明確にしてこそ、データ活用が活かされていく点に特に注意しておきたい。
IoT技術満載の農機具

IoT技術を利用した農機具はバカ高い。(今のところ。補助金活用必須)しかし、これを活用して利益につなげられる農家は一体どれだけいるのだろうか。
「馬鹿とハサミは使いよう」と言うように使い方を見定めないと意味がない。コンバインの食味地計測・作業履歴・メンテナンス履歴・作業人員削減・直進性など色々と良さそうな機能は多いが、本当の意味で活用していくためには、毎年のデータを蓄積しながら、どう生産効率・経費削減を行うかを試行錯誤していかねばならない。
ここにIoT真価があるのではないだろうか。ただ、興味本位で購入しても金額に見合ったものは得られないはずである。
手塩にかけたこだわりの農産物とIoTで生産効率向上を目指した農産物は似て非なるものである。
生産効率も大切だが・・・。
私が思うのにIoT導入よりも先に販売価格を上げることの方が大切ではないかと思うのである。これは、JAへの協同選果・共同販売ではなかなか難しいと思う。が、川上から川下まで普段手がけている農家にとってはさほど難しいものではない。
利益を最大化してからのIoT化でも遅くはない。
利益に見合った、販売価格を付ければ良いだけのことである。こちらの方が断然効率的であり現実的。すなわち、価格決定権をどう持ち合わせるか?である。同じ米でも安い米・高い米はある。なぜ違いが出るのかを考えてもらいたい。
農産物も商品。その商品の価値を創造し交渉した方が良い。まずは、自分で農産物の価格を付ける売り方を考えるべき。
それには、野菜の品種や、こだわり、ネーミング、顔のみえる売り方など、実に様々なやり方がある。
IoTもいいが、自分が育てた野菜の価値を一度考えてみるとよい。もっと、利益を上げる方法はないだろうかと!
IoTはデータ活用が鍵!
IoT(Internet of thigs)は直訳すると、物の情報共有といったところだろう。つまりは、データを制覇しなければ活用できないことでもある。これには、向き不向きの人がいることは言うまでもない。
向いている人
向いていない人
他にも色々な要素はあるが、主だったものはこれぐらいではないだろうか。特に、毎日の作業なので、毎日漏れなく記載できなければ意味がない。あと、肉体作業ではないので事務作業が出来るかは、大きな要素である。
私自身、農作業後の知的作業は非常に辛い。特に、力を入れる作業後の書き物やキーボード入力は指先が震えることがちょくちょくある。まあ、誰にでも経験あると思うのだが・・・。
データの活用法
まず、IoTのデータを使って「何をどうしたいのかを明確にすること。」ことである。
生産効率を上げたいのか・生産量を向上させたいのか・経費を削減したいのか・販売価格向上を目指すのか、と。一度に解決させていくことは難しいので、まず一つ一つ解決していきたいものである。
1日のデータでは意味をなさない場合にでも1年、5年、10年とデータを蓄積させていくことにより、ビッグデータとなり傾向と対策が具体的に見えてくる。いわば経験則から客観的事実による作業の確実性と言ってよいだろう。
時間とデータ蓄積とにより、どうしたら魅力ある農業に変えていけるのかが見えてくるのではないだろうか。