交付金といえども原資は税金
農業次世代人材投資資金(経営開始型)旧青年就農給付金は150万円/年を5年間支援交付してくれる制度である。しかし、この制度よく考えてみると足かせのようにも感じられてならない。
一月に換算する12.5万円となる計算だ。
5年間で750万円を交付してくれる。大きな金額である。年2回(半年分づつ)の交付で最大75万円。魅力的な資金でもある。
しかし、しかしだ!H29年度採択分より投資満了後に農業を辞めると、投資資金の返還が生じるということである。実に厳しい。これが交付金の実態である。
いくら、投資資金といえども税金であるため、もらい逃げは出来ないということである。
支援か?足かせか?
この、投資資金を得るためには色々な条件をクリアする必要がある。農業を始めるのにこんなことをやっていたら、本末転倒もいいところ。
農業の本質は、自然相手のダイナミックな仕事であることを理解していない証拠でもある。書類で完結するようなものではないと言いたい。
支援しつつ、足かせを付けられているようなものだ。
12.5万円って生活費?そりゃぁ!ないんじゃないか!
そして、利益350万円以上出れば交付金打ち切り!まさかの飼い殺しか?色々な条件はあるが必要以上稼いでしまうと一部返還・全額返還もありうる。
愛知県庁の担当者に確認したところ、うまくいっていないところが実に多いそうだ。割合までは教えてくれなかった。割合を教えてくれなかったと言うことは相当悪いと予測される。
そりゃそうだよ。生活費をもらえるなら誰でも楽しちゃうからね。後になって、その大変さを知ることになるってパターンだな。
人間、そんなに強いものじゃない。厳しい状況に追い込まれないとなかなか動けないもの。人は楽な方に行きやすい。それが、人間ってもんだ!
農業やるには機械・設備が最初!
農機具って異常に高い。まず、最初に必要なものを全てそろえることが先決ではないだろうか。たとえば、 農業次世代人材投資資金 を担保に金融機関で750万円全額の一括借入れを起こせば、よっぽどの機械設備は購入できる。それに、他の補助金を利用することで1/2の補助が出るならMAXで1,500万円ぐらいのものが買える。
これ、自己資金一切使わないで使える可能な額ね!
この1,500万円を元手に機械設備を全てそろえてから農業に取り組む方がよっぽどありがたいと思うのだが、いかがだろうか?
機械・設備買うのに見積もりが必要だったと思うのだが・・・。1,500万円分も買うのだから定価の2割ぐらいは値引きしてくれるメリットがある。値引き分も入れると、新品定価換算で1,800万円分ぐらいのものが買えると思う。300万円の増額は実に大きい!
飲み代なら300回程度は行ける。 欲を言えば中古で買いたい。中古なら、その倍の3,600万円分ぐらいのもは買えるのではないだろうか? こういう補助事業って中古のものが買えないかもしれない。販売店でも利益に預かりたいがために農機メーカーが国に対して補助事業に中古販売させないように要望を出している可能性もある。昔は、そうだった。10年ぐらい前ね! 今は、違うかもしれないからチェックしてね!生活費は、農業で稼ぎ出すと覚悟を決めれば意外となんとかなるのではないだろうか?もし、ダメなら深夜コンビニのアルバイトでもいい!
事務屋が考える制度そのもの
こうした制度を作っているのは誰か?運用しているのは誰か?
そう考えるとイメージしやすい。たとえば、経営開始型は市が管轄。準備型は愛知県の管轄である。その職員も農業などはやったことのない職員が担当している。だから、杓子定規の事務処理となりやすい。それと、責任は何もない。
責任があるとしたら、書類の不備や間違いの訂正などくらいだろう!全責任は事業を行う農家がもつのだから。いくら親切にアドバイスしてくれても最後は誰も助けてはくれない。
そのことは自覚しておいた方が良い。
こうした資金制度は、諸刃の剣!よく考えてましょう!
そして、担当職員は全てを把握したいから、書類も無意味に細かい。
それよりも、750万円分を1度に交付してもらう制度の方がよっぽど分かり易くお互いにメリットがあるのにね!
ちまちまやりながら、初心者が5年後、新しい何百万もする機械なんて買えっこないからね。
事務としても、国から業務の委託を受けているようなものだから、事務費が一定の割合が出ている。この、事務費は農家は一切知らない。この事務費が職員の給料となっていることも。
昔取った杵柄で、このあたりの事業内訳・制度の仕組みは熟知している。
始まりよければ全てよし!
本当の勝負はスタートにあると自分は考えている。コツコツとやったところで農業なんてものは利益を生み出せるものではないからだ。大きくやるか、価値を高め価格を上げるかしかないと思っている。
常に、リスク(天候・価格変動)がつきまとうからである。それなら、1度に機械・設備を導入して始めた方がよっぽど効率が上がり、その時間を他のものに充てられるからね。
儲からなければ、アルバイトでも何でもやればいい。今は人手不足だし、時間賃金もどんどん上がっているから。方法はいくつでもある。
制度に流されない情報力と自分の頭で本気で考える。
最近分かってきたことがある。「農家は、生産に力を入れる。経営者は情報を活用する。」と言うことだ。
肉体労働も大切だが、情報をしっかり得ながら自分の頭で考え抜くことも農業の重要な要素だから。
情報を得るためには、その為の時間を作らなくてはならない。ここに、農業の核心があるのではないだろうか?
忙しい、忙しいでは利益は生まれない。一種、時間的余裕を作ることが必要であると最後に付け加えておきたい。